令和元(2019)年

令和元年12月
教官の葬儀の席に友ととも座れば遺影の眼差し優し
先生の晩年記す本読みて我の真心足りぬを恥じぬ
CAに憧れ夢を果たしたる人の生きざま見事なるべし
島さんの言われたごとく変わりたり山田の滝の水清らかに
令月に向かいて歩く夜明け道梢の黒く際立ちており
目隠しをさせて生徒ら我の手を取りて導く祝いの席に
目隠しを取ればケーキが目の前に祝いの文字もくっきり見ゆる
生徒らに言われるままに紐引けば背後でくす玉音たて割れぬ
小3の子等を遊ばせ親たちに熱く語れり教室のこと
教卓の手直し済めどまた一つ改善すべきが頭によぎる
子らの帰省お迎えの車ひしめく空港前娘待ちたり
位置を変えつつマスクして車の前で振り返る人よく見れば我が娘なり
子供らと久方ぶりの団欒に時を忘れぬ喜寿なるイブは
子を見れば希望湧くなり今の世がたとえ末世と思える時も
「開けてみて!」子等の差し出す包み開けハズキルーペに「ヤッタ!」と叫ぶ

令和元年11月
ピンポンに玄関開ければアマゾンの商品届くまあ早きこと
早朝の教室温しエアコンの消し忘れなり書道広げむ
もの言わぬ子等を相手に2時間の授業を終えてホット息つく
久々に6時間の授業してその後フライトまだまだやれる
3時間の勉強終えて虹歩さん「ああ疲れた」と背伸びして言う
さまざまな問題通し教え子は関係詞の霧見事払えり
英検に受かりましたと結子さん電話くれたり声弾ませて
日の丸の歓迎受けて天皇は御手振リ賜う秋晴れの下
気になりし垣根を刈りて一安心後は電飾付けるのみ
面接を明日に控えて李沙さんは念押しとして再度来たれり
せがまれて初めて書斎見せたれば生徒ら喜び歓声上げぬ
「先生はいつもここから見てるいるの」問われて頷き共に海見る
生徒らは書斎の中を見回してシミュレーターに目を輝かす
誘われて朝食会に参加して若き世代に学びて帰る
英検の合格目指し五度までも通いくれたる娘の愛おしき
学び終え記念の写真を撮りたれば孫と爺との形となりぬ
「合格の予祝だよ」とお祝いを渡せば驚き笑みのこぼるる

令和元年10月
朝冷えに暖房つけて生徒待つ神無の月も終わりとなりて
ハロウィーンの起源語りてシニアの授業始めぬコーヒー片手に
愛犬の声に起こされ時見れば深夜過ぎなり何事ならむ
愛犬に「ウンコ?」と問えば駆け出でて茂みの中で長々かがむ
一晩に三度も起こされ愛犬の異変に驚き獣医訪ねる
落つる日の大村湾に照り返し街並み霞む秋の夕暮れ
若き頃春に心弾ませど喜寿となりては秋に魅せらる
仕事への思いを語る美帆さんの言葉の裏にまごころ見ゆる
犬を刺す蜂を見つけて払えども怯まず逆に反撃受ける
一目参散犬と逃げれど追いつかれ肩と脚とを蜂に刺さるる
「BBCニュースでレビュー」のユーチューブすぐに入れたり「お気に入り」
しっかりと準備整え一時間受験生への授業果たせり
麻生さん不遇な病状乗り越えて人世のために尽くすと言えり
久々に丘を巡りて2時間の散歩果たせり汗を拭き拭き
道すがら新らたな家の数軒がたちて時の流れを想う
気付かずに通り過ぎれどよく見れば可憐な小花足下埋めり
授業の間散歩に出れど雲行きの怪しくなりてコース変えおり
平常心忘れず臨め二月の休みを終えて集える生徒に
早朝に起きて瞑想書の鍛錬トイレ掃除も終えて万全
体験を英語で喋り始めるも気付けば日本語変り身早し
妻送り迎えるまでに散歩する秋空の下汗をかきつつ

令和元年9月
 高齢ドライバー「危ない!」の妻の叫びに急停止見れば車がすぐそこにあり
「うるさい!」と妻の助言に反発し運転するもホントは危険
「おかしいな?」まっすぐ入れたはずなのにドアを開ければ斜め駐車だ

敬老会
町会の会長我が家訪ね来て頼みありとう遠慮がちにて
敬老会の挨拶頼まれこりゃ大変先輩多く僭越至極喜寿なれど敬老会ではまだ新人

蜂に刺される
脚元に激痛走り目をやれば大きな蜂が脛を刺しおり
蜂毒は下に至るや足先は赤く腫れたり風船のごと
怠い上食欲も無く体温を計ればなんと38度に
屋越しに妻の笑いを耳にしてテレビ見てかと我までおかし
笑うほど命伸びんとよく聞くぞますます笑えどんどん笑え

令和元年8月
滝行久々に訪ねし滝の激流に思わず怯む梅雨明けの午後
気合入れ激流に向け歩を進む全ての注意足下に集め
激流に打たれて念ず病む友に大なる力与え賜えと

令和元年7月
家庭倫理の会設立
無謀だと言われてもなおつき進み会を設立会長ととも
1年間なりふり構わずお誘いに明け暮れし果て会を設立
新たなる仲間と共に式典を終えたる後のパーティー盛ん
式の後記念の写真撮らんとし人の多さに後すざりせり

令和元年6月
孫の来訪
5年ぶり訪ねくれたる孫娘難関大学進学果たし
束の間の滞在の間も孫娘勉学励むは誰に似たるか
勉学に精出す孫の姿見て遊び呆けし過去省みぬ

令和元年5月
御代変わり大君の言葉に涙し平成の御代は終わりぬ
感謝と共に歴代の皇の意志継ぐと新天皇のお言葉強し
皇居内埋め尽くせる参賀者は日の丸かざし静々進む

平成31年4月
「令和」なる新元号が明かされて次なる御代に夢広がりぬ
満開の桜も黄砂に飲み込まれ霞て映えず今日の佐賀路は
昨晩の春の嵐を耐え抜きて今朝の桜は健気に見えぬ

平成31年3月
5年ぶり訪ねくれたる卒業生アメリカ帰りの輝き放ちて
「健康」がいつも話題のシニアたち今日の出席共に喜ぶ
生徒らに文化の違い語りつつ改め思う国への誇り

平成31年2月
久々に車洗いて見つけたるキズ撫でまわす詫びを言いつつ
使うだけ使って手入れ忘れたる車に詫びてワックスかけぬ
何時も思うがままに何処までも走りくれたる愛車は我が身

平成31年1月
英語塾20周年定年後始めし塾も20年経ちて講師も喜寿を迎えぬ
20年経ちて素人英語塾生徒も増えて今や老舗に
英語塾20周年文集は子供に始まりシニアに終わる